■本のご紹介➁
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図書名 作者名 出版社 |
推薦文 |
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フィンランドの教育はなぜ世界一なのか 岩竹美加子著 新潮新書 |
p6 フィンランドで、子どもは国家によって一方的に教育され、指図を受ける存在ではなく、参加の権利ももつ。教育基本法第47条は、「教育を行う者は、すべての児童生徒が学校の活動と発展に参加でき、本人の地位に関する事柄に関して意見を表明できるよう配慮し、推進する。児童生徒には、教育計画及び、それに関する計画、学校の規則作成に参加する機会を作らなければならない」としている。 p53 「高等学校学習指導要領」も、2018年度から新しくなった。そこで教える道徳の内容も、郷土愛、愛国など小中学校とほぼ同じである。新しい学習指導要領では「現代社会」が廃止され、「基本的人権の保護」と「国民主権」は、削除されている。 p66 日本の道徳は、権利を教えず、「子どもが進んで義務を果たす」ことを求める。フィンランドの教育では、国家と親にも義務があることを教えている。 p78 (フィンランドでは)「市民に知識を得る能力や動機、可能性がない場合、民主主義は単なる選挙権の行使に終わってしまう。養育と教育が、批判的に考える市民を育てることを可能にする。それは、民主主義を進める基本である。国家が組織的なプロパガンダを行う全体主義的な国では、国民は国家のイデオロギーに従順であるように育てられる。そうした国では、批判的な国民は社会的危険、国家制度を揺るがす存在とみなされるので、自分で考える能力を発達させる価値は認められない」 |
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承認をひらく 暉峻淑子(てるおかいつこ)著、 岩波書店 |
p110 日本の生活保護の弱点は、保護を必要としている人に対する捕捉率が低いことで知られています。 p116 生活保護行政のこのような態度は、厚生省が一九八一年に出したいわゆる一二三号通知(「生活保護の適性実施の推進について」)が原因だといわれます。 p117 生活保護費を定額にしておきたい理由の一つは、もし保護費を高くすると、被保護者が就労したくなるように仕向けるためには保護費よりももっと高い賃金にしなければならなくなります。そのため、財界にも政府には生活保護費を低額で抑え込んでおきたいという要求が常にあります。自己責任思想がその隠れ蓑になっています。 p121 経済学者のミルトン・フリードマンが『ニューヨーク・タイムズ・マガジン』(一九七〇年九月一三日号)に寄稿したエッセイ「企業の社会的責任は利潤を増やすことである」「企業を超えたコミュニティは我々の問題ではない」という、いわゆる「フリードマンドクトリン(株主資本主義)」を発表したそのとき、フリードマンの同調者は少なくありませんでした。 |
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水力発電が日本を救う 竹村公太郎著 東洋経済新報社 |
p133 これからの水力発電開発について整理してみると、 @多目的ダムの運用変更 A既存ダムの嵩上げ B発電に使用されていないダムでの水力発電の実施 C砂防ダム・農業用水路などにおける一〇〇〇kW以下の小推力発電 |
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おかしくないですか!? 藤江成光(ふじえまさみつ)著 方丈社 コピーOKの奇特な本です。➡本のコピー(8枚-16頁分)図表は、厚労省等の公表データから作成されたそうです。 |
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免疫学問答 安保 徹 無能 唱元 河出書房新社 |
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金融世界大戦 田中宇(さかい)著 毎日新聞出版 |
p64 近代の国際政治の根幹にあるのは、資本の論理と、帝国の論理(もしくは国家の論理)との対立・矛盾・暗闘ではないかということだ。 p67 地球温暖化対策が途上国の経済発展の足かせとして用意されていることを見るとわかるように、今後も欧米中心の世界体制を続けようとすることは、世界経済の全体としての成長を鈍化させることにつながる。 p70 今の日本人の大多数には、米から抑圧されているという自覚は全くないから、米から日本への影響は、まさに覇権そのものといえる。 p79 フランス革命によって世界で初めて確立した国民国家体制(共和制民主主義)は、戦争に強いだけでなく、政府の財政面でも、国民の愛国心に基づく納税システムの確立につながり、先進的な国家財政制度となった。 p80 国土防衛戦争のために命を投げ出させる「国民」というカルト信者に仕立てた。(中略) 国民国家にとって教育とマスコミが重要なのは、このカルト制度を維持発展させる洗脳機能を担っているからだ。 |
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合成生物学の衝撃 須田桃子著 (株)文芸春秋 |
p9 三〇億塩基対のヒトゲノムの合成を最終目標とする国際研究プロジェクトが発足している。 p9 戦闘で命を落としても悲しむ親のいない兵士や、より能力の優れたデザイナーベビーが作り出されるのでは、という懸念も示された。それとは別に合成生物学の有用なツールの一つである「ゲノム編集」という技術を用い、人の受精卵を操作する医学研究も中国や欧米ですでに行われている。 p216 マウスを対象とした遺伝子ドライブ、あるいはヒトの臓器を持つ移植医療用のブタを開発する研究がもう始まっているのだ。 p217 マサチューセッツ工科大学で出会った若い科学者リサ・リップは、火星のような別の惑星で暮らすためにどんな特性が必要か、合成生物学によって人間がそうした特性を身につけることができるかどうかを検討している。 |
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「健康食品」ウソ・ホント 高橋久仁子著 講談社 |
p142 機能性表示食品 わずか2年でつくられた制度 (中略) 「厳重な審査を経て許可」されたはずのトクホでさえ、その「効果」は微々たるものでしかありません。それにもかかわらず、大きな効果があるかのような広告がまかり通っている現状を放置したまま、「機能性表示食品」という保健機能食品が、制度の準備に2年もかけることなく新たにつくられてしまいました。 p145 ありもしない、あるいはほんおわずかでしかない機能性を、制度として簡単に表示できるようにすることは、国が「ウソをついてかまわない」と認めたも同然です。 p218 ヒトは雑食性の生物ですから、動物性食品も植物性食品もまんべんなく食べることが必要です。 p234 主食としての穀類を献立の中心に置き、野菜や果物、大豆製品、海藻などをふんだんに利用し、さらに多くなりすぎない量の肉や魚、卵や牛乳を組み合わせた植物豊富な食べ方が健康な食生活の基本です。 |
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やりすぎ教育 武田信子著 ポプラ新書 |
p41 そうして子どもたちは、まるで商品のように並べられるようになりました。 p69 デンマークでは(中略)9年生まで子どもたちの成績を比較するようなテストは実施されません。 p74 日本ではさらに、子どもに人権があるということが知られていません。 p86 いじめはどこの国にもありましたが、不登校や引きこもりはほぼありませんでした。 p95 農耕民族である日本人は、農作物を育てる経験が子どもの育て方と通じることを知っていました。 p97 素直な子どもたちはいつの間にか成功と努力の神話を刷り込まれて大人になります。 |
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「戦前」の正体 辻田真佐憲著 講談社現代新書 |
p27 伝統といいながら、新しいものを押し付けてくる。このような神武天皇マジックは、一八七一年九月の「服装改革の詔」でも早速使われる。 p39 「君が代」が事実上正式の国歌として定着できたのは、義務教育で教えられていたからだった。レコードも、ラジオも、テレビも、インターネットもない時代、すべての子どもが通貨する小学校の儀式の場は、比類なき影響力をもっていたのである。 p66 (1) 新しいシンボルを立てることで、幕府の権威を相対化できたこと。 (2) 神武創業という曖昧な時代を死笑めることで、伝統を装いながら西洋化を進めらたこと。 (3) 神武天皇の軍事指導者としての側面を強調することで、国民皆兵など近代的な軍政整備を正当化できたこと。 p79 「国体」とは、天皇を中心にいただく日本独自の国のありかたをさす。 p146 そもそも靖国神社の歴史は、一八六九年兵部大輔・大村益次郎の尽力により、東京九段坂上に東京招魂社が創建され、戊辰戦争の戦没者が合祀された。 p243 八紘一宇ということばは、日蓮主義者の田中智学によって一九一三年に造語された。 |
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ビルダーバーグ倶楽部 ダニエル・スチューリン著 バジリコ |
p59 ビルダーバーグは何かにつけ、欧米の主要新聞やニュース放送網のキー局代表を会議に招く。報道は一切無での条件つきでだ。こうすれば、欧米でビルダーバーグに関するニュースが流れることはまったくない。 p71 米国市民が、自国の三大テレビネットワークが洗脳の道具だと理解したら、どうなるのだろう。その道具の先に世界の洗脳センター、英国タビストック研究所の行動分析があり、さらに先には世界有数の情報機関、MI6があると知ったら、米国の人々はどんな反応を示すだろうか。 p78 「人為操作は規模が大きければ大きいほど、一般大衆に気づかれない」ということを常に念頭においている。 p79 マインドコントロールによる全人類の統制 (中略) 「新たな世界秩序」に中産階級は存在せず、あるのは支配者と隷属者となる。 |
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色とりどりの教育 武田緑著 教育開発研究所 |
p84 「人は、“自分を創る”生きものです。その手助けをするのが学校です」 p132 デンマークの人たちが言うデモクラシーは、日本でのイメージとはちょっと違うようです。 「自分の人生をどう生きていきたいか考えることがデモクラシーなんだ」 「デモクラシーは、人が2人集まればもう始まっているもの」 「一緒に生きていくためには、デモクラシーを学ぶ必要がある」 |
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日本銀行は信用できるか 岩田規久男著 講談社現代新書 |
p17 日銀総裁には三菱財閥系のビジネスマンか大蔵省出身者が就くのが慣例になった。 p21 東大法学部を首席級で卒業した人の中から、将来、金融官僚のトップである日銀総裁と行政官僚のトップである財務事務次官になる人が選出される。 p25 「間違ったことでも、いったん決めてしまったことは訂正しない方が組織の信任を損なわない」と考えるのは、学者というよりも官僚の思考方法そのものであろう。水俣病、薬害エイズ事件、年金記録改竄事件など、「決定が間違っていたことを認め、終生して批判を浴びることを恐れた」官僚組織が「問題を先送り」し、取り返しのつかない被害を拡大してしまった事件は枚挙に暇がない。 p76 日銀にはごく当たり前の中央銀行の理論とは全く異なる、日銀内で伝統的に代々伝えられてきた「日銀龍理論」が存在するという。 |
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コロナワクチンその不都合な真実 アレクサンドラ・アンリオン=コード 思想社新書 |
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ザイム真理教 森永卓郎著 三五館シンシャ |
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汎神論が世界を救う 革島定雄著 東京図書出版 |
p71 アダム・スミスが『国富論』において、「市場経済においては、各個人が利己的に行動すれば、結果として社会全体の利益となる状況が『見えざる手』によって達成される」として、利己主義を肯定します。 p73 結局進化とは、理神論では説明のつかない、「神(あるいは自然)による自己選択」つまり「宇宙の自己組織化」のプロセスなのです。 p103 国境廃止を唱える21世紀のグローバリズムは、かつての協賛主知運動と同じく、国際主義的性格を帯びたイデオロギーです。つまりグローバリズムは21世紀の国際共産主義といえるもので、その意味でユダヤ思想による世界統一をめざしたイデオロギーであることがおわかりいただけたと思います。 |
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公共貨幣入門 山口薫著 集英社インターナショナル新書 |
p9 しかるに1882年の日本銀行設立と紙幣整理が行われてから2021年現在に至るまでの140年間、日本の経済社会は債務貨幣システムに取って代わられた(国盗り)。 p12 こうした大恐慌を二度と起こさせないようにと、当時を代表する2名の経済学者が 大恐慌からの救済策を1935年に発表した。ケインズの『一般理論』とフィッシャーの『100%マネー』である。 p33 信用創造の説明には伝統的に2つの種類があるが、いずれの場合でも銀行貸出が「預金」を無から発生させているのだから、「預金創造」というと直感的でわかりやすい。 p34 あくまで銀行が貸出を行うことで預金が創造され、その結果マネーストックの99%が利付き債務として経済に供給されているのである。 p70 バブルと円高不況、それに続く金融緩和と構造改革は全て日銀の筋書きどおりではなかったのだろうか。 p92 他方、フィッシャーの「100%マネー」の提案は、その後、経済学のタブーとされ、経済学の教科書や講義からは完全に抹殺されたが、私たちはそれを「公共貨幣」という形で受け継いだ。 p206 1980年にはほぼゼロ%であった海外からの借金であるが、2019年には構成比が12%と急騰している。金額でみると147兆円となり、国民一人当たり117万円の借金を海外からしていることになる。 p211 配当金増額の手っ取り早い方法は、賃金コストのカット、具体的には正規労働を非正規労働に切り替えて国内企業を収奪することである。このようにして配当金がごっそりと国債記入資本に貢がれ、その分に日本の家計は貧しくなったのである。民間の日本経済は今や国際金融資本に約20%近くまで支配されてしまった。 p227 地球の再生産活動から完全に乖離した金融システムの「複利」というルールが、債務者に拡大生産と過剰消費を強要させ、生態系の破壊や環境汚染を招く根本原因になっているといいうことである。 |
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チャイナスタディー T・コリン・キャンベル、トーマス・M・キャンベル著 ユサブル |
p75 食習慣の重要性に目を向けないと、さらに何百万ものアメリカ人が知らないうちに糖尿病になり、失明や手足の切断、心臓血管疾患、腎臓病、若死といった悲劇が待っている。 それなのに、栄養的には死んだ食べ物を提供するファスト・フードレストランが、どの街にもある。 p97 「正しく食べること」は、病気を予防するばかりか、肉体的にも精神的にも健康と幸福感をもたらしてくれる。 p139 五%のタンパク質で育てられたラットは肝臓がんかその前駆病変にはならず、二〇%のタンパク質で育てられたラットは肝臓がんか、その前駆病変を起こしたのである。 p238 果物によるビタミンC接種が、さまざまな病気に対しても強力な予防効果を発揮することを、はっきりと示していたのである。 |
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難民を知るための基礎知識 滝澤三郎/山田満著 明石書店 |
p292 日本が「難民に冷たい」7理由の一つは、紛争に満ちた世界各国情勢への無関心と無知である。 p311 認定数が少ない第1の理由は、法務省の「難民」の定義が狭く、かつ難民性を判断する基準が厳しいことだ。 p312 第2の理由として、外国人の定住・永住を伴う「移民政策」はとらないという政府の強い方針がある。 |
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やってみました!一日一食 船瀬俊介著 三五館 |
p23 「腹八分で医者いらず」に続けて、「腹六分で老いを忘れる」「腹四分で仏に近づく・・・」。 p177-178 「もっとも理想的な食事は、日本の伝統食である」これは米上院栄養問題特別委員会報告(マクガバン報告)の結論です。(中略) しかし、日本政府のとった対応は不可解です。なんと、厚労省はいまだに、この米国政府が行った史上空前の栄養・健康調査を黙殺しています。栄養学の現場でも、一切、教えようとはしません。そして、大新聞、テレビは一貫してこのリポートの存在すら黙殺しています。 |
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世界を破綻させた経済学者たち ジェフ・マドリック著 早川書房 |
p38 見えざる手の理論は、科学的根拠のある法則ではなく、一つの仮説にすぎない。(中略) このモデルは、人々が常に一定の優先順位に従って洗濯を行ない、いつも合理的に意思決定を下し、商品と価格に関する情報をすべてもっていることを前提にしている。 p55 (一九世紀前半に活躍したフランスの経済学者、ジャン=パティスト・セイが唱えた「セイの法則」を)ひとことでいうと、供給はそれに対する需要をつくり出すという法則だ。具体的には、企業が商品を生産すれば従業員には賃金が支払われるので生産された商品はすべて誰かに変われる。そして、個人や企業が貯蓄すれば、その金はすべて設備投資に回るとセイの法則では考える。 p58 ケインズが指摘したように、セイの法則は「今日の産業界が求め、望んでいるもの」に合致する考え方だったのである。 p191 賃金は市場で自由に決めさせるべきであり、労働組合に不当な影響力を振るわせたり、政府が解雇規制や最低賃金制度によって労働者を保護すべきではないという。アメリカ政府は共和党政権も民主党政権も、以上のような「ワシントン・コンセンサス」(ワシントンに本部を置く世界銀行とIMF、アメリカ財務省に共有されていたコンセンサスであるため、このように呼ばれている)と総称される政策を先頭に立って推進してきた。 |
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政治言語の研究 佐々木健悦著 社会評論社 |
p259 加藤(周一)は、『韓非子』にある「安危ハ是非ニ在リ、強弱ニ在ラズ」という言葉を引用して、「国の安危はただ軍備の強弱による考えるのは、複雑な状況の極端な単純化であり、現実的でない。安危は大いに是非による」と書き、国の安全の程度は、道義的な是非によると解釈した。 |
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ガラスの地球を救え 手塚治虫著 光文社 |
p12 人類がどのように進化しようと、物質文明が進もうと、自然の一部であることに変わりはないし、どんな科学の進歩も、自然を否定することはできません。 p27 いちばん悲惨なのはなんといっても子どもたちです。彼らは大人よりもいつでも被害は甚大。生態濃縮反応といって、放射能も薬害も、水俣病の有機水銀と同じように大人よりダメージが深い。 p135 少なくとも今宵の月、明日の青空だけは、もう失いたくありません。 |
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日本の統治機構 飯尾潤著 中公新書 |
p8 日本国憲法制定で民主化されたということは、議院内閣制の採用によって、民主的に選ばれた勢力に権力が集中したという点につきる。それゆえ日本国憲法によって日本の政治が民主化したというときに、議院内閣制が機能しているかどうかをみることが決定的に重要なのである。 p18 民主制のもとでの大統領制は、大統領と議会とが別々に選出され、それぞれが正当性を有しているため、民意は二元的に代表される。それに対して議院内閣制は、議会のみが民主的に選出され、その議会の正統性を基盤として内閣が成立するために、民意は一元的に代表される。ここに着目すれば、議院内閣制のほうが大統領制よりも権力集中的な制度なのである。 p66 たとえば義務教育を保障するのは、中央政府の責務であると理解されている。しかし、実際に小中学校を運営するのは市町村であり、国庫負担金というかたちで中央政府が用意する補助金は必要額の半額であって、あとは地方負担なのである。 |
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黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い 畠山理仁著、 集英社 |
p126 私はジャーナリストの岩瀬達哉氏が書いた『新聞が面白くない理由』(講談社、1998年)を読んだ。そこには、1967年に、朝日新聞、毎日新聞、読売新聞の3社が法務省、自治省(当時)と協議して「泡沫候補を紙面から締め出すための取り決め」を行っていたことが書かれていた。 p132 フランス、ドイツ、イタリア、アメリカなどのように、供託金制度そのものがない国が大半だ。(中略)イギリスが7万5000円程度、カナダが9万円程度、オーストラリア(下院)も9万円程度にすぎない。高いといわれる韓国でも150万円程度である。(2017年10月2日のレートで換算) p233 東京都内の掲示板はこの時、全部で1万4163カ所あった。そのすべてにポスターを貼れる候補者は、組織力を持つほんの一握りしかいない。 p234 たとえば、こんなアイデアはどうだろう。選挙の公平性を担保するために、選挙管理委員会が都内全域に常設の「デジタル掲示板」を設置する。立候補届出とともに、候補者がポスターのデジタルデータを届ければ、一瞬にして都内全域に掲示できるようになる。 |
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鯨 チョン・ミョングァン著 晶文社 |
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健康になる食べ方幸せになる生き方 東城百合子著 育鵬社 |
p114 (ミネラル、ビタミンなどの微量成分は)普通は捨ててしまうような大根葉などはそのお王様です。安い海藻、切干大根、めざしや捨ててしまうかぶの葉、三つ葉の根(きんぴらにする)には、とても他のものではとれない“宝”が隠されています。大根の皮もきんぴらにするとおいしくいただけます p136 肝腎要といいますが、体の中の浄化槽である肝臓、腎臓がくたびれて、体の内側の汚れが外側の汚れとなって現れてくるのが病気です。 。 |
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安斎育郎のウクライナ戦争論 発行;安斎科学・平和事務所 メール |
世界を片側からしか見ていなかったことに気づかされます。 |
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「コミュ障」の社会学 貴戸理恵著 青土社 |
p49 「問題あるこの社会」と「人生に対する態度」を切り離すとは、「社会に問題があるのはもう仕方がない、そのうえで何とか勝ち残れる方法を探すしかない。そして負ければ自己責任」ということだ。こうした態度のもとでは、失敗をすべて「自己責任」で引き受けざるを得なくなり、長期的には本人が追い詰められてしまう。さらに、こうした態度をとる人が増えれば、「よりよい社会」を設計するための基盤が薄くなってしまう。 p70 東京シューレの創立者であり、自身も不登校の子を持つ母親であった奥地圭子は、「登校拒否は病気じゃない」(一九八五年)という衝撃的なタイトルの著書のなかで次のように語る。(中略) つきつめていえば、登校拒否は学校の問題抜きに語れることではなく、登校拒否になった子ども個人を治療するという発想はさかさまなのです。つまり、あえていえば、治療されるべきは学校ではないかと私は思います。 |
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道徳教室 高橋秀実著 ポプラ社 |
p11 「どうとく」では、 よりよく いきる ために たいせつな ことに ついて、 みんなで かんがえるよ。 (『しょうがく どうとく いきる ちから 1』日本文教出版) p14 みんなで考える? 私は首を傾げた。みんなと話し合う、みんなと考える、というならわかるのだが、みんなで考える、とはどう考えるのだろうか。そもそも考えるという行為はひとりですることである。(中略)「みんなで」の「で」が「によって」を意味するのであれば、「みんなで考える」とはみんなによって考えられるということで、それなら自分で考えなくてもよいということになってしまうのではないだろうか。 |
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和暦で暮らそう 柳生博と和暦倶楽部著 小学館 |
p117-118 和暦を正しく理解するうえでの大前提は、ご先祖様の神仏に帰依する心用意の深さです。しれに、なみなみな純朴さ、篤実さではありません。昔の人は死後の世界のあることを疑わず、祖先を霊を信じると同時に、自らの魂もまた死によって消滅することはなく、永遠に懐かしい故郷の家を離れずに、子や孫とともにあることを信じていました。 くわえて、自然を畏敬し、そこにおわす八百万の神々の実在を信じ、自らが神々の宰領なさる風土の子であること、自らの生命が自然の一部であり、遠からず自然に戻るものであることもまた自明の理と認識していました。だから、季節季節の折目を絶ち説に祀ることは、むしろ心を晴れやかにするよろこびだったことでしょう。 そうやって、おのが天命をありのままに受け入れ、寂寞に満ちたかりそめの世の宿りにも、ほどほとの折り合いをつけて、貧しいながらもうるわしきご機嫌を失うことなく、一生を平らかに安んじることができたのです。おのが天命を疑りつづけ、神を捨て、自然を軽んじて、終生ストレスに悩まされつづける現代人とは、あまりに対蹠的ではありませんか・・・・。 |
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日本の進む道 養老孟司、藻谷浩介著 毎日新聞出版 |
p57 地震学者で元京都大学学長の尾池和夫先生は2038年あたりに南海トラフの大地震が来ると明言しています。 p83 アベノミクスの正体は、日本を外国に叩き売るバーゲンセールの準備段階だったことになります。 p94 山林や湖沼を除いた面積で人口を割った、可住地人口密度を比較しましょう。14億人が住む中国は1平方キロメートル当たり180人なのに、日本で過疎地の代表とあれる島根県は、その3倍以上の600人近くあります。 p98 北関東から東北にかけての太平洋側は、国内でも世界でも一番自信に強い地域なのです。第一に、東京、名古屋、大阪、広島、福岡などのような、海沿いの沼沢地の上に造られた大都市がない。仙台は名前の通り、台地の上にあります。(中略)江戸時代の初期にあった大津波の教訓で、伊達政宗が津波の来ない内陸側に陸羽街道をずらし、その基本設計が引き継がれました。 |
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スノーデン 監視大国日本を語る エドワード・スノーデン他著 集英社新書 |
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反戦川柳人 蔓彬の獄死 佐高信著 集英社新書 |
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アニミズム時代 岩田慶治著 法蔵館 |
p239 (前略) その知の風景をたとえば――― 水清うして底に徹す 魚行いて遅々たり 空闊にして涯りなし 鳥飛んで杳々たり と、いっていいだろう」。 水が清らかに澄みとおって底までよく見える。いや、底までじゃない。もともと、そこに底がないのだ。底を突き破って澄み切っているのだ。その水のなかを魚が行く。(中略)その水のなかには東西南北がなく、上下左右もないのだ。果てしもない水のなかを遅々として魚が行くのだ。物差しがないのだから魚の泳ぎが速いか遅いか、そんなことは分からない。遅々と行くのだ。 (中略)その涯しない空のなかを鳥が飛んでいく。(中略)空に鳥の道があるわけじゃないが、自由に羽ばたいて行くべきところに到着する。いや、すでに到着しているのだ。 そういう風景、そういう自由な―――そして鳥、魚の―――主体的が動きがそれとしてよく見える、それが最初の知恵というものだ。 |
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ゼロからの資本論 齋藤幸平著 NHK出版新書 |
p77 どのように働くかを決めるのも、その労働が生み出す価値を手にするのも資本家。労働の現場には、自由で平等な関係など存在しないのです。だから、労働問題の大家である熊沢誠は、「民主主義は工場の門前で立ちすくむ」と喝破したのです。 p79 湯浅誠が、日本はセーフティネットが脆弱で、一度仕事を失うと一気に生活保護まで落ちてしまう「すべり台社会」だと名づけたことを思い出していただくといいかもしれません。 資本主義社会の労働者は、そんな不安定な環境のなかで自分の労働力という商品だけを頼みに、それをどこに売るかも自分で決めて、必死に生きていかなくてはなりません。ここに「自己責任」という落とし穴があります。 p80 “資本家にとって都合のいい”メンタリティを、労働者が自ら内面化することで、資本の論理に取り込まれていく。政治学者の白井聡は、これを「魂の包摂」と呼んでいます。 |
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9・11アメリカは 巨大な嘘をついた ジョン・コールマン博士著 成甲書房 |
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村八分 礫川全次著 河出書房新社 |
p116-117 歴史学者の中村吉治(一九〇五〜一九八六)は、一九五七年(昭和三二)三月に、『日本の村落共同体』(日本評論新社)という本を出した。(中略) 緊密な不可分の一体としての共同体では、成員をみだりに増やしたり減らしたりはできなう。基本的には独立してきた農民が、感情や行事や祭の面で村意識をもっているようなときに、祭の仲間から除外するというごとき村八分が可能となる。(中略) これはだから、共同体の崩壊過程においてのみ生じるものである。明治の村などで、最も生じやすいものである。それをもって、本来の共同体の性格とみるのは、やはり歴史的・具体的でないのである。 |
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円の支配者 リチャード・A・ヴェルナー著 草思社 |
p88(通貨の創造) 気づいているひとはあまりいないが、つぎのような事実がある。あなたが銀行に千円預け、中央銀行は預金準備率を一パーセントに設定しているとする。この場合、銀行は九百九十円貸し出し、十円(千円の一パーセント)を預金準備として用意すると考えたくなる。しかし、じつはそうならない。そうではなく、銀行はあなたの預金を百回まで貸し出すことができる。銀行はあなたの新規預金千円をもとに、十万円貸すことが可能なのだ。(あなたの預金千円は、この十万円の一パーセントとして預金準備にあてられる)。どうして、そんなことができるのか?銀行は追加の十万円をどこで手に入れたのか?どこからも手に入れてはいない。銀行が無から創り出したのである。銀行がお金を創造していることは明らかだ。 |
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世界を騙し続けた[洗脳]政治学原論 天野統康(もとやす)著 ヒカルランド |
西側諸国の政治を国際銀行権力が裏で操っています。キーワードは、通貨発行権。1980年代のバブル、その後を不況を通貨供給量から鮮やかに分析しています。お勧めです!!! |
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世界を騙し続けた[詐欺]経済学原論 天野統康(もとやす)著 ヒカルランド |
信用創造という言葉を聞いたことあがありますか。お金がどこで生まれ、どこで消滅しているかを知れば、世界を裏で動かしているものの正体が分かります。お勧めです!!! |
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競争しても学力行き止まり 福田誠治著 朝日新聞社 |
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年年歳歳 ファン・ジョンウン著 齋藤真理子訳 河出書房新社 |
p101 この子たちが小さいときには、けんかなんぞしようものならすぐに介入できたのに。一方だけ叱ったり、二人の両方を叱ったりなだめたりして仲裁できたのに。今はそれができなかった。子供たちは小さいときみたいにしょっちゅう争いはしなかったが、はるかに辛辣で、母親には理解できないことをめぐってけんかした。それが何であれ、イ・スンイルは呵責を感じた。それが何であれ、自分の手で渡したものがあの子たちの手に渡って割れ、その破片を握りしめて子供たちは血を流すのだと、イ・スンイルは思った。 |
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続けてみます ファン・ジョンウン著 オ・ヨンア訳 晶文社 |
p267 人間なんて空しくて、取るに足らない。でも、だからこそ愛おしいとナナは思います。 その取るに足らなさで、どうにかこうにか生きているのだから。 楽しんだり、悲しんだりしながら、頑張っているのだから。 |
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誰でもない ファン・ジョンウン著 齋藤真理子訳 晶文社 |
p253 訳者あとがきより 彼女の小節を読むことは、微細な暴力の粒子が溶け込んだこの世界、日常とディストピアが地続きになった今を歩き続けるために必要なエネルギーを私たちに与えてくれる。 |
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ディディの傘 ファン・ジョンウン著 齋藤真理子訳 亜紀書房 |
多くの人命を奪った「セウォル号沈没事故」、現職大統領を罷免に追い込んだ「キャンドル革命」という社会的激変を背景にした連作小説。 孤立し、閉塞感が強まる日常の中で、人はいかに連帯し、突破していくのか?行く先に真の〈革命〉はもたらされるのか?私たちが望む未来とは?人は誰もが唯一無二の存在という事実をあらためて突きつけていく。 |
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父と暮らせば 井上ひさし著 新潮社 |
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カミを詠んだ一茶の俳句 山尾三省著 地湧社 |
p38-39 人間が「ああ」と吐息をついたり、「おお」と口には出さずひそやかに感嘆したりするその時には、カミはそこに、ひそやかにではあるけれども、厳然として出現しているのであり、 p171 日常生活においてぼく達は、ただモノに埋めつくされた世界にいるだけではなく、ぼく達との関係においてことあらば〈意味〉として出現しようと待ちかまえている、森羅万象の世界の只中にある。それをアニミズム以前の世界と呼ぶとすれば、その中にある何かと啐啄同時の感動の関係を持ち、それを〈意味〉として捉え出すことこそがアニミズムにほかならない。 p173 一茶もまたその生涯をかけて、その〈物のみえたる光〉を詠みつづけたことはいうまでもないことである。 その〈光〉が、深く、かつ正確に伝えられれば伝えられるほど一般的にそれは佳句となり、秀句となり、絶唱ともなるのであるが、それが浅く、かつあいまいにしかとらえられず、伝わらぬならば、当然それは駄句となる。 |
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PCRは、PNAウィルスの検査に使ってはならない 大橋眞著 ヒカルランド |
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ネットカルマ 佐々木閑著 角川新書 |
p44 業は差別思想を正当化するための根拠としても利用されるようになっていきます。悪い行いをするとその結果として不幸になる、という業の論理は差別の根拠付けにはもってこいです。 p136 21世紀になって出現しつつあるネットの業は、かつてなく悪質で狂暴です。公正でも無私でもなく、悪意に満ちて、なおかつ冷酷無情な、まるで狂暴な侵略者のような姿で私たちに迫ってくるのです。 p157 それを自制できるならば、それはきわめてすぐれた人間的行為ということができます。ここは、人が獣として生きるのか、人間として生きるのかの分かれ道です。そしてブッダは、「真の安楽を求めるなら、人間として生きよ」と言っているのです。 |
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日本の思想 丸山眞男著 岩波新書 |
p172 ところが「である」思考と「らしく」道徳の強い社会では、とかくそうした「はたらき」の区別が特定の人間の集団の区別からもっぱら出て来るように考えられます。つまり文化活動は「文化団体」や「文化人」に、政治活動は「政治団体」や政治家にそれぞれ還元されてしまうから、文化団体である以上、政治活動をすべきではない、教育者は教育者らしく政治に口を出すなというふうに考えられやすいのです。 |
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死刑について 平野啓一郎著 岩波書店 |
p23 ある高校生が「なぜヒトを殺してはいけないか」と問いを投げかけました。ところが、スタジオにいる大人たちは、これにうまく答えることができませんでした。 p24 この問題が話題になった時、メディアを通して様々な人の意見が出されました。しかし、不思議なほどに「法律で禁じられているから、憲法で禁じられているから」と答える人はいなかったと記憶します。(中略)憲法が基本的人権の尊重を定めている、という事実に対する日本人の理解は、非常に不確かです。 p72 一つは、日本において人権教育に失敗しているということが挙げられます。例えば、小中学校では、道徳の授業の他、人権週刊などに人権教育がなされ、作文を書かせられたりします。しかし、その指導は、「相手の気持ちになって考えましょう」式の勘定教育に偏していて、個人として有する当然の権利としての人権について、歴史的に、観念的に説明するということはほとんどありませんでした。 |
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告発と呼ばれるものの周辺で 小川たまか著 亜紀書房 |
p24 2017年の改正は、明治以来110年ぶりとなる大幅な改正だった。大昔の刑法をほとんどそのままにしていたことに驚くけれど、ひとまず改正法が施行されたことは喜ばしいニュース。 p60 フラワーデモで、紀子さんは最後にマイクを持ち、「あなたの傷を知恵に変えなさい」という言葉を紹介した。アメリカの人気司会者で、性虐待のサバイバーであることを明らかにしているオプラ・ウィンフリーの言葉だ。 |
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アニミズムという希望 山尾三省著 野草社 |
p322 国と郷、この漢字を二つ並べてみるとはっきりしますよね。こっちのステイトを意味する国とう字は四角く囲ってあって、ここからここまではわが国と四角く囲って、中に王様がいるんですね。これが国というもの、国家というものの姿です。ネイションステイトですね。こっちの郷(くに)は、英語でいうカントリーですね。故郷の郷の字です。 p359 この風景は私の見ている世界にすぎないんです。どんなに頑張ってみても私の鏡の世界にすぎないんです。ということを知っておくと、独断から逃れられる。 |
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和の構造 向坂 寛著 北樹出版 |
p85 「私」は時と場によって、「おれ」となり、「わたくし」となり、「僕」となり、「われ」となり、「手前」tなり。そしえ「われ」とか「手前」は二人称代名詞の代わりをすることも周知の通りである。このことは、「私」がいろいろの「事故」をもっているようでいて、実は明確な「自己」が確立されていないことを示しているのである。 p89 これに対して、日本語の場合、「わたくし」、「ぼく」、「おれ」等、さまざまな人称代名詞(自称詞)に変化して用いられている一つの重要な理由として、日本人は自分を語る場合、相手に対して常に卑下して語ろうとしたと言われている。 p91 「我」を無にし、純一にして、「自然」や「社会」や、「与えられた秩序」に和合し、それがかえって「我」を生かすという発想である。 |
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日本再生のための「プランB」 ゆうへいきょう著 集英社新書 |
p57国家主権の不足の例 一九九〇年代ですら、日本政府は米国政府に要請されるまま、自国の産業を衰退させる政策を採りました。 代表されるのが、米国政府の要請を受けいれた「日米半導体協定(一九八六〜九六年)」と「時価会計の導入(一九九七年)」です。日本の半導体産業と金融産業は、一九八〇年代に世界最強といわれた地位を、一九九〇年代以降、米国に譲りました。 p252 地方の住民が地元のスーパーで払う売上税の用途として、大都市に所在する大企業の「法人税減税の穴埋め」はふさわしくなく、地元にすべて還元すべきです。 |
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撤退論 内田樹編 晶文社 |
少子化・人口減、気候変動、パンデミック・・・。黒色が衰微し、手持ちの国民資源が目減りしてきている現在において「撤退」は喫緊の論件。 周知を集めて論じる、アンソロジー。 |
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自粛バカ 池田清彦著 光文社新書 |
p7 文科省が教育制度を統制して、横ならびの教育を推し進める現行の制度は、1960年代くらいまでは適応的だったかもしれないが、IT化が進んで、多様な人材が必要とされる社会では、完全に時代遅れなのだ。 p118—119 グラフ作成者の古気候学者マイケル・マンは最近になって、捏造と批判したカナダ・ウィニペグ大学元教授のティム・ポールに対してスクラップ訴訟を起こしたが、マンはホッケー・スティックグラフの元データの提出を拒み、敗訴が決定した。 日本ではあまり知られていないけれど、ホッケー・スティックグラフの捏造は海外で「クライメートゲート事件」として大スキャンダルになったのだ。 |
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新型コロナワクチンの正体 内海聡著 yusabul |
P37 無症状感染という詐欺のような診断名をもらうわけです。 p43 新型コロナウィルスに限らずウィルス疾患は、症状から感冒であるかどうかの判断をします。そして、レントゲンやCT検査や採血などで細菌性肺炎などを除外し、PCR検査もCt値が少ないレベルでも陽性になることを確認します。さらに、他の主だったウィルス検査(たとえばインフルエンザウィルスなどの検査)を行って陰性であることを確認して、初めて新型コロナウィルス診断に至るのです。 p44 インフルエンザの患者数が激減した一番の原因としては、2020年3月11日に日本医師会が全国の医師に対して、インフルエンザの検査をしないよう求めていることが考えられます。 |
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ルポ入管 平野雄吾著 ちくま新書 |
p32 日本政府は一九八一年に難民条約に加入したが、近年の難民認定率は一%未満である。 p62 外国人は人間扱いされません。 p69 治安維持法がよいと言う人は現在、いないと思います。けれども、入管当局が今やっているのは治安維持法に規定された予防拘禁よりも酷いことです。 p79 職員は遺体をシャワー室から運び出したら、それで終わりという感じでした。クマルの苦しみを理解しようともしないし、人間としても扱わない。職員に追悼する様子はなく、花束一つ用意しないため収容者の間に怒りが広がりました。 p114 入管問題に関心を寄せた参議院議員(当時)、山本太郎の要望を機に、二〇一八年夏から午前中の温水利用も可能になった。 |
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日本史七つの謎 松本清張他 講談社 |
p83-84 天皇には「もうあなたはそういうことはやらないでください。赤字の始末は我々がやりますから、はっきりいえば実害のあるようなことはやめてください。そのかわりあなたは大変優れた文化的感覚をお持ちだから、文化の象徴的存在としてそちらのほうだけをやっていただきます」と、はっきり口に出していったわけじゃありませんが、そこで天皇の性格ががらりと変わります。言ってみれば一種の象徴天皇制が出発したわけで、ですから私は平安朝というのは嵯峨からだと思うんです。 p174 十九世紀の列強の世界は強者が弱者を食うという、いわばジャングルの掟で成り立っていました。いよいよ日本も食べようかという時になって、第一次世界大戦が終わって国際連盟ができ、ベルサイユ体制が成立します。世界のルールがジャングルの掟から話し合いが変わったわけです。だけど日本の為政者たちはこの変化がまったく理解できなかったんですね。 |
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橋本治と内田樹(対談集) 筑摩書房 |
p315 そういうふうになると、自分たちが存在している場所、地域共同体は神によって守られている。必要なものは必要にして十分なだけの存在があるというところで神が存在している。でもそこに一つだけ欠けているものは何かというと、「自分自身に対応する神」なんですよね。 p322 中国も個人主義という点ではアメリカに似ていますね。個人主義って、実はグローバリズムと相性がいいんですよ。親族とは地域共同体とかいう中間的な共同体は惰性が強いので、あまり急には変えることができないけれど、個人と国家は急ハンドルが切れるんですよ。どっちも幻想だから。 p324 エゴというものが溶けだしてエゴが大洪水を作ってしまって、人がその中で溺れ死ぬみたいなことのほうが先に起こるんだろうなと思います。 |
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戦後思想を考える 日高六郎著 岩波新書 |
p122 くりかえし、指摘しよう。 政治的支配、経済的搾取、社会的差別だけが日本の現代社会の骨格を支えているのではない。生活の管理化、教育の統制化、文化の画一化、思想の受動化、要するにすべての局面におけるおしきせ性がその骨格を支えている。 p167 しかし同時に、戦前がら連続して残ったものの力は、相当に大きかったのです。絶対天皇制は象徴天皇制になりましたが、天皇制は残りました。なによりも、日本資本主義は残りました。一時財閥解体などもありましたが、たちまちそれは有名無実となりました。あるいは日本の新聞は、そのまま残りました。敗戦国のドイツやイタリアでは、ナチスやファッショに協力した新聞は全部廃刊となり、社主は戦争犯罪人としてとらえられました。 |
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犬神家の戸籍 遠藤正敬著 青土社 |
p201 明治期の日本が国家建設の基盤とした家制度は、そうした近代の潮流と逆行するものであった。その根底にある思想は、個人をあくまで「家の一員」として、さらには天皇の臣民として把握するものであり、その究極の総合体となるのが、すべての臣民が「日本」という家の家長たる天皇の「赤子」として包摂されるという「国体」に他ならなかった。 |
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コロナワクチンが危険な理由 荒川央著、 花伝社 |
p33 Ct値とはCycle Thresholdのことで、規定量のDNA量を得るのに必要なPCRの増幅サイクル数です。 グニアツドフスキーらの研究では、細胞に感染可能な検体の平均Ct値は18.8±3.4。 (中略)一方、細胞に感染できない検体の平均Ct値は27.1±5.7でした。 p47 PCRスクリーニングを改善するとすれば、PCRスクリーニングを「症状のある人」に限定する。新型コロナ、他のコロナウィルス、インフルエンザウィルス等を「区別できる方法で」PCR検査を行い、さらに新型コロナのPCR陽性であった場合はそれぞれの方に「Ct値を数値で報告」することでしょう。 p158 免疫記憶が類似の抗原への新規抗体産生やT細胞応答を妨げるのが「抗原原罪」で、ウィルスが抗体を利用して重症化させるのが「抗体依存性感染増強(ADE)」です。 |
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一万円選書 岩田徹著 ポプラ新書 |
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言葉と戦車を見据えて 加藤周一著 ちくま学芸文庫 |
p233 言葉は、どれほど鋭くても、またどれほど多くの人々の声となっても、一台の戦車さえ破壊することができない。戦車はすべての声を沈黙させることもできるし、プラハの全体を破壊することさえもできる。しかし、プラハ街頭における戦車の存在そのものをみずから正当化することだけはできないだろう。自分自身を正当化するためには、どうしても言葉を必要とする。すなわち、相手を沈黙させるのではなく、反駁しなければならない。言葉に対するに言葉をもってしなければならない。一九六八年の夏、小雨に濡れたプラハの街頭に相対していたのは、圧倒的で無力な戦車と、無力で圧倒的な言葉であった。その場で勝負のつくはずもなかった。 p323 政府が教科書を操作して過去の誤をごまかせば、二つのことが起りえ得る。第一、次の世代の日本人が、教科書を信用せず、政府を信用しなくなるかもしれない。長い話でみれば、それは政府がみずから墓穴を掘ることであろう。第二、もし多くの若い日本人が教科書を信用すれば、帝国主義的膨張政策の誤のくりかえされるだろう蓋然性は、大いに増すにちがいない。いずれにしても、その結果は日本国民の安全と利益に反する。 |
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海をあげる 上間陽子著 筑摩書房 |
手渡されたのは、絶望。 海をあげるって、どういうこと?! |
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コロナワクチンの恐ろしさ 高橋徳 中村篤史 船瀬俊介 共著 成甲書房 |
ぜひ手に取って、ご自身で判断してください。 My body,my choice. p169 免疫力は、和食と摩擦と日光浴が発揮します。 排泄力は、菜食と運動とファスティング(断食)です。 p170 腹八分で医者いらず。腹六分で老いを忘れる。腹四分で神に近づく――― |
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自動車の社会的費用 宇沢弘文著 岩波新書 |
P7 人々が自由に安全に都市の街路を歩き、田舎の道を歩くことができないような国を、はたして文明国といってよいのであろうか。 p32 飽くことをしらない物質的欲望がそのままこの「マイカー」という言葉にあらわされている。 p157 日本の街路にみられるように、歩行者の基本的権利を完全に侵害するようなかたちで自動車の通行がおこなわれ、歩行者はたえず生命の危険にさらされているという状態は、このような観点からみればきわめて異常なものであるということができる。 p171 自動車の普及は、自動車利用者がこのような社会的費用を負担しないでもよかったからこそはじめて可能になったともいえるのである。 |
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となりの難民 織田朝日著 旬報社 |
p13 ここでは、いつ自由になれるのかもわからないことが被収容者にとって最大の苦しみなのです。ここに入った人はあまりのストレスで病気になることも多く、ときにはみずから命を絶ったり、医療放置によって命を落としてしまう人すらいるのです。 p120 懲罰房は、三畳くらいの広さでトイレと水道がついているだけでほかに何もありません。なんらかの理由鵜で入れられて場合、だいたい5日くらい、外から鍵をかけられます。貴金属は、たとえ大事な結婚指輪であっても、本人がどんなにいやがっても強制的に没収となります。 p125 大人しい彼だけど、ときにはあふれ出るように、「ここはとてもつらいです!ここを出ても、もう元(の自分)には戻れない。ずっと(ここでのことが)頭にのこる。思い出すたびにパニック起こすでしょう。それほどまでにここは苦しい・・・」 |
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時給はいつも最低賃金これって私のせい? 和田静香著 左右社 |
p137 本当はバブルが崩壊して30年。雇用市場をもうちょっと柔軟なものに改められたらよかったのに、そうはせずに特権的に生涯雇用と賃金上昇、社会保障と退職金がセットになって守られた正社員というカテゴリーがごく一部の人に提供され続けてしまった。 p138 定年制が廃止されれば、「年功序列の賃金体制」が、成り立たなくなりますね。 p179 みんなが政治的に賢明になること p257 社会が変わるときって、「初めに詩(うた)来たる」って言うんだってね。 |
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歌集 滑走路 萩原慎一郎著 角川書店 |
p67 非正規という受け入れがたき現状を受け入れながら生きているのだ p70 箱詰めの社会の底で潰された蜜柑のごとき若者がいる p75 非正規の友よ、負けるな ぼくはただ書類の整理ばかりしている |
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JR上野駅公園口 柳美里著 河出文庫 |
また、あの音が聞こえる。 あの音―――. 聞いている。 でも、感じているのか、思っているのか、わからない。 内側にいるのか、外側にいるのかも、わからない。 一九三三年、私は「天皇」と同じ日に生まれた――― 東京オリンピックの前年、男は出稼ぎのために上野駅に降り立った。そして男は彷徨い続ける、生者と死者が共存するこの国を。 |
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ソウルの市民民主主義 白石孝編著 コモンズ |
p58 ソウル市のサポートは手厚い。私が参加した1週間前の2017年1月14日の第12回キャンドル集会を例に挙げよう。 「ソウル市は地下鉄の増便と終電延長などの対策を行う。土曜日のキャンドル集会に参加する市民の安全を確保し、不快感を解消するため、交通・安全・快適への対策を用意した。光化門広場とソウル市庁近くの地下鉄出入口の階段と手摺、通気口周辺などに224人の安全要員を配置して、事故がないように管理する。救急車10台をはじめとする消防車両23台と救急隊員など消防士158人が待機し、救急患者の処置や病院への搬送に備える。さらに、光化門広場周辺に移動トイレ2施設を設置し、民間建物・公共施設のトイレ210箇所も確保して、当日解放する。市庁本館ロビーと市庁清渓別館ロビーは、迷子の保護、忘れ物の申告・救急安全案内所として運営する」 さらに、特定の政党や政治家が主導する運動としないために、舞台での演説に政治家や選挙立候補予想者を登壇させなかったことも特徴的だ。 |
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語り継ぐこの国のかたち 半藤一利著 大和書房 |
p175 つまり日露戦争後に、日本のリーダーは国民に、これからどういう国であるべきかという、国家ビジョン、国家戦略、国家像をはっきりと示さなかった。示せなかった。ただ、世界の五大強国のひとつロシアを破って、我々は世界の五大強国の仲間入りした、ものすごい強国になったんだ―――という形で国民は指導されたわけです。 p185 大正十年(一九二一)七月、湛山は、三十七歳になる直前ですが、ご存知の「一切を捨つるの覚悟」、さらに続けて「大日本主義の幻想」という、有名な二つの論文を書きます。ここでは、日本が戦略的体制としている大日本主義が、いかに国家を滅ぼす非常な愚策であるかということを物語るわけです。 p207 言論の自由というものは、ある日突然奪われるというものではありません。権力によって外堀から内堀へとじりじりと埋められていって、いつのまにか「自由」は動きがとてなくなる。戦前日本の歴史がそう教えています。 p230 人に対して面と向かっていえないことを、言論の自由の美名の下に書いてはいけないのだ、ということを先生(小泉信三)は力をこめておっしゃいました。 p256 「近代国家とは法の下におかれる国家であることはいうまでもない。国土の一木一草も法によらざるはなく、国王・大統領といえども法の下にある」(無題) これが司馬さんの文章です。 |
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投票に行きたくなる国会の話 政野淳子著 ちくまプリマ―新書 |
カバーより 国会は、暮らしやすい社会を作るための話し合いの場。 十八歳になったらだれでも選挙権があるし、 投票以外にも、私たちの声を政治に生かす方法はある。 国会の仕組みをよく知って国会議員を使い倒そう。 |
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呪いの言葉の解き方 上西充子著 晶文社 |
p16 不当な働かせかたという問題の本質を背後に隠し、「なぜ辞めないのか」という問いの中に相手の思考の枠組みを固定化しようとする。「嫌なら辞めればいい」は、そのような「呪いの言葉」だ。 p18 ひとが「答えのない問い」を差し向けるのは、相手を「『ここ』から逃げ出せないようにするため」である。 |
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非戦の国防論 合田寅彦著 あけび書房 |
p28 一つ救いがあるとすれば、小野寺五典防衛大臣が2014年4月11日付の毎日新聞朝刊のインタビューで、「私たち隣国はこれから100年も1000年も隣国だ。努力を重ねて信頼を醸成していけば、50年先には東アジアも安定するかもしれない」と語ったことです。 p38 この条項は恒久平和の動きについて、世界に対し道徳的リーダーシップをとる機会を日本に提供するものであります。 p96 戦争は壮大な環境破壊ということになります。 |
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「地球温暖化」狂騒曲 渡辺 正著 丸善出版 |
p12 太陽エネルギーを使ってCO2から有機物をつくる光合成生物は、三五億年前に生まれたという。光合成のしくみは、地球環境を一新する最後の大発明だった。 p89 南極に降った雪はやがて氷に変わる。どんどん増える氷は、自重で低いほうへと動くため、南極の氷を氷河とよぶ(中心部から端部へ流れ着くのにかかる時間は約五〇〇〇年)。端部にやってきた氷は必ず崩れ落ちる。 p98 コンピュータの処理能力がどれほど上がっても、複雑きまわまりない地球の気候を正しく予測できる時代が来るとは思えない。 p101 気温が四〇〜五〇℃になる地域でも、氷点下一〇〜二〇℃があたりまえの地域でも、したたかに適応しながら多くの人が生きている。そんな地球の気温がかりに一℃や二℃上がろうと、大騒ぎするようなことではない。 |
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「地球温暖化」神話 渡辺 正著 丸善出版 |
日本は2006年度から国・地方・民間を合わせて20兆円以上も「温暖化対策」に使ってきましたが、CO2の排出が減った形跡はまったくありません。財政難だといいながら巨額な血税をドブに捨て、いまも捨て続けているのです。 「人為的CO2脅威論」は、どうみても裸の王様――それを暴ききった作者渾身の一冊。 p122 IPCCは自らの使命をこう述べた。 人間活動による気候変動の危険性と、影響・適応・軽減法の把握に役立つ科学・技術・社会経済情報を、包括性・客観性・透明性のもとで評価する。 この一文がすべてを語る。人為的な気候変動を頭から「危険」と決めつけ、どれほど危険なのか、どんな対策があるのを調べるのがIPCCの使命だった。 |
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安倍三代 青木理 著 朝日新聞出版 |
p187 ―――やはり戦争体験ゆえですか。 (藤井裕久談) 「僕らが学童疎開したのは東京の小平でしたが、B29の爆撃があったんです。それに日本の飛行機が体当たりして、落っこったことがあった。こっちは食い物がなんにもないから、アメリカの飛行機が落ちたところにはビスケットくらいはあるんじゃないかと思って、実際に行ったんです。そうしたらみんな落っこちて、手足がちぎれていて・・・。そのときから僕はね、戦勝国も敗戦国も、国民はみんな戦争の犠牲者だっていう信念を持つに至った。西村くんもそうですよ。西村くんもね」(注:西村正雄) p274 「地盤があって看板とカバンがあれば、未熟なものでも政治家になっていく。だから政治はどんどん劣化する。明らかに世襲のなせるわざです」 p276 そうして戦後70年を経た日本政界は、世襲議員によって牛耳られる特殊で奇妙な世界に変貌した。この20年程の政界を見れば、小泉純一郎にせよ、福田康夫にせよ、麻生太郎にせよ、自民党が送り出した宰相は全て世襲。その”究極形”が安倍家の三代目=晋三であるのは記すまでもない。 |
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プレイン・ピープル アーミッシュの世界 栗原紀子著 愛育舎 |
p122 力をあわせて働くアーミッシュの親子を見るのは、実に心がはずむ。それは親から子へと大事なものが伝わっていく現場そのものなのだ。三〇〇年にわたる家族の歴史、信仰、価値観、仕事の技術がともに働くことによって受け継がれていく。大人顔負けの手つきできびきびと仕事をさばく子供たちの目は輝き、表情はきりりとひきしまっている。 p138 正しいことをするのを決して恐れるな。たとえみんなが間違ったことをしていても。 いつも急いでいる人は、人生からほんの少しの満足しか得られない。 自分のためだけに生きている人は、人生の本当の楽しみを知らない。 アーミッシュ・スクールの壁にはこんな標語を書いた紙が貼ってある。生徒たちが自分で書いたものだという。 |
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苦海・浄土・日本 石牟礼道子 もだえ神の精神 田中優子著 集英社新書 |
p143 「個人」はむしろ管理に都合がよい。(中略)個人は分断と競争によって管理され、競争に勝つことがあたかも自分自身の願望であるかのように思わされ、それがために懸命に働く。あるいは下に位置する者の尊厳を無視して働かせる。 p158 近代100年は、子どもをどんな風に教育してきたんでしょうね。 p227 経済は発展するのに豊かさが失われていくとは、いったいどういうことなのだろうか。それは、近代の夢想した豊かさが、自然の豊かさを食いつぶすことによってしか実現できないものだった、という意味なのだ。 p242 毒死列島身悶えしつつ野辺の花 石牟礼道子 p249 競争に明け暮れ、国土を汚すことになんの罪悪感も覚えぬ人々のことを、「魂の抜け出てしまった人間」と道子はいう。 |
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ペンシルバニア・ダッチ・カントリー アーミッシュの贈り物 ジョセフ・リー・ダンクル著 主婦の友社 |
p17 彼らは、暴力を断固として否定する、完全平和主義者なので、戦争には絶対反対で参加しません。 p19 教会の建物をもたない彼らは、それぞれの家が礼拝集会の場として提供されます。 p68-69 この時期、不意に雷やにわか雨に見舞われることも少なくありません。家をふるわすほどの落雷に驚かされることもしばしばです。けれども、日が暮れるとホタルが瞬間的に黄色い光を放って飛び交い美しく幻想的な光景がくり広げられます。八月ともなると、セミや虫の鳴き声で闇は包まれます。 p147 文明の利器を使った進歩的な技術を拒否するアーミッシュの人たちにとって、経験を積んだ老人たちの意見は、とても大事な暮らしの指針となるので、農作業に限らず、すべてにおいて大先輩としての意見を尊重され、大事にされています。 |
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科学者の9割は「地球温暖化」CO2犯人説はウソだと知っている 丸山茂徳著 宝島社新書 |
p7 「古気候と文明の盛衰の関係」を研究してきた研究者は、研究の常識として温暖化は文明の興隆の主因であるといい、寒冷化は国家を崩壊させ、世界を動乱の時代に導く原因になるという。二酸化炭素は植物にとってかけがえのない食糧であり、動物はその上に成り立っている。したがって、二酸化炭素がなくなれば、その時は我々動物の絶滅を意味する。大気に残された二酸化炭素は、すでにあとわずか380ppmなのである。今日の温暖化狂騒曲は要素還元主義による科学の進歩と、それがもたらした知的混迷の歴史的必然であり、人類史最大の悲劇の始まりを意味するであろう。我々はその悲劇的結末に猛進している。 p85 2020年問題の本質を一言で言い表せば、世界人口の異常な増加である。 p86 21世紀後半の50年間で100億の人口のうち40億人が死ぬと予想されている。 p88 飛鳥時代に気候が急激に寒冷化したとき、アジアでは大規模な民族移動が起こって、日本には50万人程度の人間が食糧を求めて移住してきたことが明らかになっている。 |
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協同労働の挑戦 日本労働者協同組合編 萌文社 |
p15 自分の仕事、自分の考え、自分の生き方を、自分自身で徹底して突き詰め、自分の仕事−労働力そのものを、人々の生活の豊かさのため、社会のより良いあり方のため、そして自分の成長・発達のために活かそうとすれば、働くことについて経営者にすべてを委ねるなどということは到底ありえないでしょう。 p19 いま、日本中のどこを見ても、労働市場では労働と労働者は商品以下にまで貶められています。 p25 これからの20年、30年先を見たとき、協同労働の協同組合は、第一次産業に大きくシフトしていくだろうし、そうしていかなければならないと思っています。 |
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未来への大分岐 マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソン、斎藤幸平編 集英社新書 |
p71 マルクス自身もあなたと同じように、地球を(コモン)として扱うことを強調しています。(中略) 資本は地球を(コモン)として取り扱うことができない。それどころか資本は、人間と自然とのあいだの関係に「修復できない亀裂」をつくり出す。なぜなら、資本は短期的な利潤という観点からしか自然を扱うことができないからだ、と。 p262 新自由主義を放棄し、グローバリゼーションを抑制しない限り、世界システムの崩壊があるだろうと私は二〇一五年の段階で予測していたわけですが、今は残念ながらそれが正しいことは証明されました。米中の貿易戦争、WTOや国連の機能不全、イギリスのEU離脱(プレグジット)をめぐる混乱などがその現れです。 |
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正しく知る地球温暖化 赤祖父俊一著 誠文堂新光社 |
p26 筆者が特に温暖化の問題に注目し始めたのは、IPCCの地球温暖化研究で気候学者の間ですでに一致した見解、すなわち「現在進行している温暖化は炭酸ガスの温室効果による」という見解があると言われたからである。筆者の経験によると進歩中の学問で一致した見解ほど、その学問の進歩を妨げるものはない。 p45 報道が一方的である証拠は、たとえそれが温暖化の影響でなく異常気象の結果であると他の研究者がコメントしても、無視されてしまうことである(すなわち、報道の価値がないということである)。 p132 約一万五千年以前、すなわち大氷河期から間氷河期に入った時代、少なくとも数千年間の間現在より暖かかったのである。 |
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二酸化炭素温暖化説の崩壊 広瀬隆著 集英社新書 |
p120 地球の気象を左右してきたのは、大気中に〇・〇3%の体積しかない二酸化炭素ではない。大気中には水蒸気が重量で一三兆トンもあり、空気の量の〇・二六%を占めているが、湿度の高い所では四%にも達する。 p139 自動車七〇〇万台、エアコン九〇〇万台などによる都市熱が、猛暑をさらに猛暑にしてしまう。(ヒートアイランド現象) |
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つながりの経済を創る 工藤律子著 岩波書店 |
経済格差と少子高齢化に苦しむ日本社会にとって、「つながり(連帯)」をテコに社会変革に挑むスペインの人々の姿はまぶしい。市民政党の流れを汲む行政の試み、ひとをつなぐ「補完通貨」や「時間銀行」のユニークな展開、職場や学校に広がる、多様な人と生きるための仕組み―――.好評『ルポ 雇用なしで生きる』につづく現地報告。 p81 スペインでは、三人以上集まれば、あらゆる業種で労働者協同組合を設立することができる。 p171 この地球で生きていきたいと願う子どもたちは、「ストップ温暖化」、「気候は変えず私たちが変わろう」と訴える。既存の政治と社会のあり方に疑問を持った若者たちは、「民主主義って何だ」と問いかける。平和で平等な社会を築くはずが道を誤ったと気づいた大人は、「反原発・核兵器」や「社会的連帯経済の推進」に力を入れ、経済学者の一部も、「資本主義における倫理を見直そう」と声を上げている。世代、性別、人種、国籍など、あらゆる面でバラエティあふれる人たちが、互いに関心を持ち、知り合い、つながり、支え合い、行動していくことで、真に豊かな未来への道を築こうとしている。 |
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あなた自身の社会 スウェーデンの中学教科書 アーネ・リンドクウィスト/ヤン・ウェステル共著 川上邦夫訳 新評論 |
p45 グループにはさざざまな種類があります。グループとしての圧力が非常に大きいグループもあります。これを「権威的グループ」と呼びます。(中略)グループの圧力は、そのメンバーの態度を、仲間と一緒にいるときと一人でいるときとで、まったく異なったものにしてしまします。(中略) 他のグループでは、メンバーは大きな自由を享受しています。自由に提案し、議論します。合意が得られないときは、議論は白熱します。同意しなくても、誰もグループから排除されることを恐れる必要はありません。(中略)この型の「民主的グループ」は、問題を解決するのに優れています。 |
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THIS IS JAPAN ブレイディみかこ著 新潮文庫 |
p223 著しい貧困は人の尊厳を損なうものであり、そのことを社会が放置することの人権的な問題は教えられていたないのだろうか。差別だけが人権問題ではない。貧困をつくりだす政治や経済システムもまた人権課題なのである。 日本の社会運動が「原発」「反戦」「差別」のイシューに向かいがちで経済問題をスルーするのと同じように、人権教育からも貧困問題が抜け落ちているのではないだろうか。 p241 日本では権利と義務はセットとして考えられていて、国民は義務を果たしてこそ権利を得るのだということになっています。中略 例えば英国では、「権利」といえば普通は国民の側にあるものを指し、「義務」は国家が持つものだが、日本ではその両方を持つのは国民で、国家と国民の役割分担がなされていない。 |
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国境なき大陸 南極 柴田鉄治著 冨山房インターナショナル |
p105 日本が戦争へ突入していったのも、日本の社会に「言論・報道の自由」がなく、新聞が戦争に反対しなかったからだ、と知って「平和と人権を守るジャーナリズムの仕事」をやろうと考えたからだったのです。 p115 戦争の恐怖は、空襲や機銃掃射だけではありません。最も恐ろしいのは「飢え」です。食べ物が足りないと人間性が破壊されるのです。 p177 理由はともあれ、地球上の一角に国境のない地域が存在するという事実の重みは、たいへんなものです。国家がなければ戦争も起きない、平和の地であり続けられるという現実を示してくれる一つのモデルでもあるのです。 |
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天湖 上 石牟礼道子著 埼玉福祉会発行 底本 毎日新聞社刊『天湖』 |
上巻 p161 地に落ちてみのる種子たちよ、種子のまた種子たちよ。汝の胚は溶かされた。 だがしかし、自分の躰が大地であることに気づいて、さらに供犠として自分を知る者たちは、歌のごとくに蘇るべし。 秘されている歌は、神に近づく道しるべであるから。 p205 やがてしかし、その女児がものの言えない子であるのがわかると、人々は「なにか、神さまの考えの宿っとる子じゃろう」と言いあった。 |
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天湖 下 石牟礼道子著 埼玉福祉会発行 底本 毎日新聞社刊『天湖』 |
上巻 p271 都会に出て、白飯食うて来た者も、いつかは、天底の五穀の味を思うじゃろう。白飯は体にようはなか。神さまの声も聴こえんようになるよ、都会人になってしまえば。 |
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地形の思想史 原 武史 著 KADOKAWA |
日本の一部にしかあてはまらないはずの知識を、私たちは国民全体の「常識」にしてしまっていないだろうか? 人間の思想は、都市部の人口的な空間だけで生み出されるわけではない。地形が思想を生み出したり、地形によって思想が規定されたりすることもあるのだ。 なぜ、皇太子一家はある「岬」を尋ね続けたのか? なぜ、富士の「麓」でオウムは終末を望んだのか? |
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きみ江さん ハンセン病を生きて 片野田 斉著 偕成社 |
p206解説より ある日のこと、保育園の子どもたちがきみ江さんのまわりに寄ってきました。ふつうのおばあちゃんのしわだらけの手とはちがう、おかしな手が、子どもたちの目の前にありました。子どもはこわごわとさわってみます。やわらかで温かいけれど、おかしいな・・・・・。また、ちょっとさわってみます。・・・・変だけど、手にはちがいない、ほっとした顔つきてきみ江さんの手をなでています。 説明はいらないでしょう。これこそ、目に見える名誉回復そのものなのです。 |
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感染症と文明 ―――共生への道 山本太郎著 岩波新書 |
感染症との闘いは人類に勝利をもたらすのか。防疫による封じ込めは、大きな悲劇の準備にすぎないのか。共生の道はあるのか。感染症と人類の関係を文明の発祥にさかのぼって考察し、社会が作り上げてきた流行の諸相を描き出す。共生とは理想的な均衡ではなく、心地よいとはいえない妥協の産物ではないのだろうか。 |
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地図から消される町 青木美希著、 講談社現代新書 |
p117 「原発は、一度襲ってきたライオンが寝ている状態。政府は『大丈夫だから帰るように』と言うが、危険が去ったわけではない。 p284 被害者、避難者の声は、復興、五輪、再稼働の御旗のもとにかき消されていく。 「原子力 明るい未来のエネルギー」という標語の看板が双葉町の道路から撤去された。あとには何もないまち、名前をなくすまち。 安全だと言われ、鵜呑みにしていた私たち社会の過信が生んだ悲劇だ。 その姿は、私たちの奢りへの猛省を促し、一人ひとり、自ら判断して立ちなさいと言っているように見える。 |
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いのちの場所 内山節著 岩波書店 |
p67 明治時代の変革とは、国家が上からの権力を用いてそれまでの共同体社会を解体していく「革命」として展開したといってよい。 p68 ここでもっとも有効な役割をはたしたのは戦争だった。(中略)各地でソメイヨシノが戦勝記念植樹運動として植えられ、(中略)日露戦争は国をあげた民衆運動を展開させながら、国家の命運を我がことと感じる国民を形成させていったのである。 |
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時間についての十二章 内山節著 岩波書店 |
p175 そして、このような関係のなかで暮らしていると、人間は他の人間たちを手段とするようになり、人間の「類」としての存在が失われるばかりか、自然をも手段とすることによって、人間は自然という「類」の一員であることも破壊している。 |
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「その日暮らし」の人類学 もう一つの資本主義経済 小川さやか著 光文社新書 |
p48 また、人びとは、不可逆的な縦軸の時間とともに、一年前と同じ春や秋がふたたび回帰し、去年と同じ春の畑仕事や秋の収穫を繰り返す円環的な横軸の時間を生きている。今年も実りの秋を迎えたという喜びは、村人たちみなのものでもある。自家消費用の畑の作物は、自分が必要としている量の二倍つくるのが農家の自然の慣習で、余った分は知人に配ったり、不作の家があったときはそこへ回したりするのが普通だという。内山はこれを、農民の「アソビ」であると指摘する。だが、みなで実りを分かち合う暮らしの豊かさは、作物が商品として出荷された瞬間に消え去り、数か月かけて育てた作物の対価としてはあまりにも少ない貨幣へと還元されてしまう。だから、上野村の人びとは必ずしもすべての作物を商品として出荷しないし、仕事を時間あたりの労働投下で換算しうる「稼ぎ」とは異なるものとしているのだという。 |
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草 日本軍従軍慰安婦のリビング・ヒストリー キム・ジェンドリ・グムスク作 ころから |
「私ははトミ子じゃない。私の名前は季玉善(イ・オクソン)だ!」 |
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フクシマ事故と東京オリンピック 小出裕章著 径書房 |
真実から目を逸らすことは、犯罪である。 |
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みな、やっとの思いで坂をのぼる 永野三智著 ころから |
p216 昔水俣病に運動に父ちゃんば取られたとき、必死で子どもたちば育てた。叱らんちゃ良かとば叱って、かわいそか思いばさせた。子が、十(10歳)にもならん内にうっちんで(亡くなって)。力一杯抱きしめてやればよかった。 その日から、緑の山が灰色に見えて。他の子がおっとに(いるのに)、親の私がひとりで立っとききらんごてなった。 何十年も前のことを昨日のことみたいに話す。静かに、泣きながら、時々汚れたタオルで顔全体をぬぐう。ここに私はいるけれど、彼女は宙に向ってしゃべる。 子どもが病気になって生まれてな、食べ物のことば考えるようになった。野菜にもみかんにも、農薬ば、毒ば撒くていうことがどげんことか。水俣病は食べ物の病気じゃもん。 |
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避難弱者 相川祐里奈著 東洋経済新報社 |
プロローグより 「どうあったって利用者を守ってくって決めたんです。あのときの選択がよかったかどうかはまだわからないけど、それがよかったと思えるよう、いまもまだ戦っている最中なんです」 飯舘村の老人ホームで話を聞いた女性職員は顔を紅潮させ、まっすぐな眼差しからは涙がこぼれ落ちていた。私は身がすくみ、言葉を失った。 |
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赤松小三郎ともう一つの明治維新 関 良基著 作品社 |
p55-56 英国にとって、日本国内を内戦で混乱させ、武器を売却して儲け、自らの言いなりになる傀儡政権を樹立するのが最も好都合だ。英国人の血は一滴も流さず、武器を売却して儲けた上で、自分たちの影響下にある政権をつくれるのだから・・・。 時代は下って二一世紀の現代に至っても、英国後継の覇権国である米国の戦略は、当時の英国のそれを引き継いでいる。 |
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魂の殺人 アリス・ミラー著 新曜社 |
p231-232 しかもそれより何より私たちは、子どもたちが傷つけられることなく、両親から尊重され真剣に相手にされて成長したとしたら一体世界がどんなふうになるだろうかということがわかっていないのです。少なくとも私の知るかぎり、子どもの時両親からそのような敬意をもって遇された人が、成人した後他人を殺したいという欲求を抱いた例はありません。 p236 もしアドルフ・ヒットラーが本当の意味で愛された子どもだったとしたら、彼自身も愛することのできる人間になっていたはずです。 |
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遺書 わたしが15歳でいじめ自殺をした理由 小森美登里著 WAVE出版 |
私は15歳。 音楽と海が大好きで、 明るい性格のどこにでもいる女の子。 「優しいこころが一番だよ」 そんな言葉を託して、 私は天国へいきました。 本当は、生きたかった。 大好きなあの教室に戻りたかった。 大人の力が、欲しかった。 |
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ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか? アレン・ネルソン著 講談社文庫 |
p123 それから、自分もまたあのようにして生まれたのだと思いました。わたしの母も、あの壕の中の女性のようにして、わたしに命をあたえたのだと。 それからまた、ベトナム人もまた人間なのだ、わたしと同じ人間なのだという、ごくごく当たり前の事実に、しかし、それまでけっして考えてみることの事実に思いいたりました。 ベトナム人はグークスではないのです。 わたしは、自分の姉妹と同じような少女を数えきれぬほど殺したのです。 自分の母と同じような女性を数えきれぬほど殺したのです。 考えることを禁じてきたさまざまなこと、感じることを禁じてきたさまざな感情が、自分の内側でゆっくりと目覚めはじめました。 |
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TN君の伝記 なだいなだ著 福音館書店 |
p139 青年たちは、どんな時代でも政治的な関心をもっている。未来は彼らのものだし、未来の社会をどのようなものにするかを考え、実践する政治が、彼らの関心をひかぬはずはない。もし、青年が政治に無関心だとすれば、彼らは未来に絶望しているか、未来を見るひまもないほど、現在の生活においまくられているかだ。 p164 TN君は、自由は人に説いて教えられるものではない。自由は抵抗のなかで、自覚されるものでしかない。 |
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考えるとはどういうことか 梶谷真司著 幻冬舎新書 |
p48 哲学とは「問い、考え、語り、聞くこと」であるが、このうちとくに「問う」と「語る」からいかにして制約を取り払うかが重要である。中略 日常生活の中で、私たちが何を言ってもいい場というのは、まったくと言っていいほど存在しない。 p52 自由に考えるためには「何を言ってもいい」ということが必要なのだが、この原則からすると、学校は正反対の場所である。そもそも学校では言うべきことが決まっている。それは「正しいこと」「よいこと」「先生の意に沿うこと」である。(正確に言えば、「正しいとされていること」「よいとされていること」「先生の意に沿うとされていること」である) |
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物語ること、生きること 上橋菜穂子著 講談社 |
p127-128 「ねえ、テストのとき、カンニングしたりすることある?」と、アボリジニの子どもらに聞いてみると、彼らは、あっさり、あるよ、と笑うではありませんか。 「俺は解答がわかった。でも隣に座っているいとこはわからなかった。シェアしなければ、欲張りな、やなやつじゃん」 つまりチビたちいわく、これもケア&シェアなのだと。 「俺がいい点をとることはそれほど大事じゃない。それよりも教えて、一緒に同じ点をとったほうがいいじゃないか」 なるほどね、と納得しそうになるのをこあらえて「でもそうしたら隣の子は、勉強しなくなっちゃうよね」と言ったら、彼は言うのです。 「彼は彼で、ほかに得意なことはあるから、いいんだ」 |
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文明の逆説 立花隆著 講談社文庫 |
p140 今必要なのは、人間を動物としてもう一度とらえ直すことだ。動物としての人間の生存の条件を知ることだ。その条件の中に、文明をおさめ直すことだけが、人類の生きのびる道だからである。 p175 食品添加物には、一応使用基準が定められていて人体に有害ではないということになっているが、それはあくまで個々の添加物についてであって、汚染された大気を呼吸し、ありとあらゆる食べものに、それぞれ有害物が微量ずつ入っている時に、その相乗効果がどうなるかということは問題にしていない基準なのである。 |
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最先端の自治がまちを変える 福嶋浩彦著 朝陽会 |
p42 国民は国会議員をリコールしたり、国会を解散させたりできないが、住民は首長や議員を住民投票でリコールできるし、議会を解散させることができる。国の法律は、国民が法案をつくり国会に提出することはできないが、自治体の条例は、住民が条例をつくって首長を通して正式に議会へ提案できる。(以上の規定は地方自治法) p43 間接民主制のみの国とは異なり、自治体は直接民主制が土台であり、その上に間接民主制を置いている。だからいざとなれば住民が首長の首を切り、議会を解散させる。住民投票は自治体民主主義の基本制度なのだ。 |
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茶色の朝 フランク パヴロフ著 藤本 一勇訳 大月書店 |
p28 ひと晩じゅう眠れなかった。 茶色党のやつらが 最初のペット特別措置法を課してきやがったときから、 警戒すべきだったんだ。 けっきょく、俺の猫は俺のものだったんだ。 シャルリーの犬がシャルリーのものだったように。 いやだと言うべきだったんだ。 抵抗すべきだったんだ。 でも、どうやって? 政府の動きはすばやかったし、 俺には仕事があるし、 毎日やらなきゃならないこまごましたことも多い。 他の人たちだって、 ごたごたはごめんだから、 おとなしくしているんじゃないか? |
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世代の痛み 団塊ジュニアから団塊への質問状 上野千鶴子、雨宮処凛共著 中公新書ラクレ |
p56 だから高校受験に落ちたら浪人するしかない。つまり、完全にレールから外れてしまう。「受験に落ちたら死ぬ」みたいな感じでしたね。そのなかで、競争を煽られながらも、仲良くしろ、友情が大事だと言われる。矛盾してますよね。あまりにも競争を煽られると、劣っている奴は排除していいというメッセージとして受け取ってしまう。教師の言っていることを突き詰めると、ダメなやついじめていいんだ、ということになる。努力していないんだから、と。その結果、なんの悪気もなく、いじめが次々と連鎖していきました。 |
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安保徹の長寿革命 安保徹著 実業之日本社 |
p32 私たちの体は、38億年という歳月をかけた進化を経てできあがったものです。とりわけ人間には、解糖系とミトコンドリア系の調和という、他の動物よりもすぐれた能力が備わっています。自然の摂理により生まれた生命なのだから、その摂理に従って生きていくことで、人は健康になれます。体は間違えることはありません。病気になるのは生き方を間違えたときです。 |